【動悸・息切れの原因】ストレス?更年期?考えられる8つの理由と健やかな自分に還るセルフケア
「会社の階段を上るだけで、心臓がバクバクする」「夜、布団に入ると自分の心臓の音が気になって眠れない」「理由もなく急に息が苦しくなる…」。
そんな原因のわからない動悸や息切れに、一人で不安を抱えていませんか?
「疲れのせい」「いつものこと」だと見過ごしてしまうのはもったいないこと。
その不調は、あなたの体が発している大切なサインかもしれません。
ご自身の体の状態を正しく知り、適切なケアを始めることで、健やかな毎日を取り戻すことは十分に可能です。
この記事では、女性に多い動悸・息切れの主な原因から、危険なサインの見分け方、専門家への相談のヒント、そして今日から始められる具体的なセルフケアまで、あなたの不安に徹底的に寄り添い、網羅的に解説します。
この記事のポイント
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動悸・息切れの主な原因は、自律神経、ホルモン、貧血、甲状腺など多岐にわたる。
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胸の痛みや意識が遠のく感じは危険なサイン。まずは循環器内科へ。
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食事・呼吸・睡眠のセルフケアが改善の鍵。体を温める「温活」は根本改善に繋がる。
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不安な時は一人で抱えず、症状をメモして専門家に相談することが安心への第一歩。
目次
1. もしかして?動悸・息切れ、考えられる8つの原因
動悸や息切れは、単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こることがあります。
ご自身の生活習慣や他の症状と照らし合わせながら、可能性を探ってみましょう。
原因 | 主な特徴・関連症状 |
---|---|
ストレス・自律神経 | 不安感、不眠、緊張、胃腸の不調、リラックス時に動悸 |
女性ホルモン | ほてり、のぼせ、イライラ、気分の落ち込み、月経周期との連動 |
貧血(隠れ貧血) | 疲れやすい、立ちくらみ、めまい、頭痛、爪が割れやすい |
甲状腺機能 | 多汗、体重の増減、手の震え、倦怠感、むくみ |
生活習慣 | 血糖値の乱高下、カフェイン・アルコール摂取、睡眠不足 |
心臓・肺の病気 | 胸の痛み・圧迫感、冷や汗、意識が遠のく感じ |
睡眠時無呼吸 | いびき、日中の強い眠気、起床時の頭痛 |
薬剤性 | 特定の薬やサプリメントを飲み始めてから症状が出た |
- ストレス・自律神経の乱れ:
私たちの体には、車のアクセル役「交感神経」とブレーキ役「副交感神経」からなる自律神経が備わっています。現代社会の多忙な日々や人間関係の悩みは、このアクセルが踏みっぱなしの状態を作り出し、心身を常に「戦闘モード」にしてしまいます。その結果、心臓は必要以上に働き続け、安静時でもドキドキする原因となります。特に、プレゼン前などの緊張する場面だけでなく、夜リラックスしているはずの時間に動悸が起こる場合、日中の緊張が抜けきれていないサインかもしれません。
- 女性ホルモンのゆらぎ・バランスの変化:
女性の体は、ライフステージの変化に伴い、お守りのように体を守ってきた女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が自然に変化します。このホルモンは血管のしなやかさを保ち、気分を安定させる神経伝達物質セロトニンの働きを助け、自律神経を安定させる重要な役割を担っています。そのため、分泌量がゆらぐ時期には、体温調節がうまくいかずカッと熱くなったり(ホットフラッシュ)、理由のない不安感や突然の動悸が起きたりすることがあります。月経前に不調が強まる方もこれに該当する場合があります。
- 貧血(隠れ貧血含む):
体というエンジンにとって、酸素はガソリンのようなもの。貧血は、このガソリン(酸素)を運ぶタンク(ヘモグロビン)が小さくなっている状態です。全身がガス欠気味になるため、心臓はエンジンを無理やり高速回転させて酸素を送ろうとします。これが動悸や息切れの正体です。さらに、健康診断の血液検査では正常でも、体内の貯蔵鉄である「フェリチン」が枯渇している「隠れ貧血」の方も少なくありません。爪が割れやすい、髪が抜けやすい、アザができやすい、氷が無性に食べたくなる、などの症状も鉄不足のサインです。
- 甲状腺機能の異常:
喉にある甲状腺は、体全体のエネルギー量を調整する「発電所」のような器官です。この発電所の働きに異常が出ると、心臓に直接影響します。(甲状腺と心臓の関係について詳しくはこちら|外部リンク)
- 機能亢進症(バセドウ病など):エネルギーを作りすぎて、常に全力疾走している状態に。激しい動悸のほか、「暑がりになった」「たくさん食べるのに痩せる」「手が震える」「イライラしやすい」などが特徴です。
- 機能低下症(橋本病など):エネルギーが十分に作れず、体が省エネモードに。「脈が遅く感じる」「むくみが取れない」「強い倦怠感」「気力が湧かない」「肌が乾燥する」などの症状が見られます。
- 生活習慣に起因するもの:
病気とは言えないまでも、日々の習慣が動悸を引き起こしていることもあります。例えば、食事を抜いた後のドカ食いや、甘いものの食べ過ぎによる血糖値の乱高下は、アドレナリンの分泌を促し動悸の原因になります。また、コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェイン、アルコール、そして慢性的な睡眠不足も自律神経を乱し、心臓に直接的な負担をかける要因です。
- 心臓や肺の病気:
見過ごしてはいけないのが、不整脈や狭心症、心不全といった循環器系の病気です。「これまで平気だった坂道で息が切れる」「動悸と共に冷や汗やめまい、意識が遠のく感じがする」といった症状は危険なサインです。放置せず、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS):
睡眠中に呼吸が止まることで、体は一時的な酸欠パニックに陥ります。これを乗り切るため、心臓や交感神経が夜通し緊急出動を繰り返すことになります。この状態は心臓に大きな負担をかけ、不整脈や日中の動悸、高血圧の原因となります。ご家族からいびきや無呼吸を指摘されたことがある方は、一度専門医に相談してみる価値があります。
- 薬剤性の可能性:
意外な原因として、服用中の薬の副作用があります。一部の降圧剤や気管支拡張薬、また市販の総合感冒薬や鼻炎薬に含まれる成分が交感神経を刺激し、心拍数を上げることがあります。何か新しい薬やサプリメントを飲み始めてから症状が出た場合は、医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
2. これは危険なサイン?すぐ病院へ行くべき症状
ほとんどの動悸は心配のないものですが、中には危険な病気が隠れている可能性もあります。
以下の症状が一つでも当てはまる場合は、自己判断せず、速やかに医療機関(まずは循環器内科)を受診してください。
- 胸の痛み、圧迫感、締め付けられる感じを伴う
- 意識が遠のく、気が遠くなる、めまいがする
- 呼吸が異常に苦しい、冷や汗が出る
- 突然、脈が異常に速くなる、またはバラバラになる
3. 迷わないためのヒント。症状から考える専門家への相談
危険なサインがない場合でも、不調が続くなら専門家へ相談することが安心への近道です。
クリニックではどんなことが行われるのか、ヒントにしてみてください。
- 循環器内科:胸の症状や脈の乱れが気になる場合に。心電図や心エコー(超音波)検査で、心臓の動きを直接確認することができます。時には24時間心電図(ホルター心電図)で日常生活の中の不整脈を探すこともあります。
- 内分泌内科:多汗、体重の急激な変化など、甲状腺の不調が思い当たる場合に。血液検査でホルモン値を調べることで、原因を特定できます。お近くの甲状腺専門医を探す(日本甲状腺学会)
- 婦人科:ホルモンのゆらぎに伴う他の症状が気になる場合に。ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬など、様々な治療の選択肢について相談できます。
- 内科・血液内科:立ちくらみや強い倦怠感など、貧血が疑われる場合に。詳細な血液検査で、隠れ貧血の原因となるフェリチン値も測定可能です。
- 呼吸器内科:いびきや日中の眠気が強く、睡眠時の呼吸が気になる場合に。簡易検査キットを自宅で装着し、睡眠中の状態を調べることができます。
- 心療内科・精神科:強いストレスや不安感を自覚しており、心の要因が強いと感じる場合に。カウンセリングなどを通じて、心の負担を軽くするお手伝いをしてもらえます。
これだけは準備!受診前の簡単メモ
専門家に症状をうまく伝えるために、スマホのメモ機能などで簡単に記録しておくとスムーズです。
- いつから?:例)「先週の月曜から」
- どんな時に?:例)「夜、横になった時」「食後」
- どのくらい続く?:例)「数分でおさまる」「30分以上続く」
- 他の症状は?:例)「めまいもする」「汗が出る」
4. 心と体をいたわる、心地よいセルフケア習慣
重大な病気が隠れていないことを確認した上で、日々の生活習慣に少しの工夫を取り入れることは、不調の改善と再発予防にとても役立ちます。
まずは一つでも、心地よいと感じることから試してみてはいかがでしょうか。
- ✓ 食事に「ちょい足し」の楽しみを
完璧な食事を目指す必要はありません。いつもの食事にプラスワンする楽しみを見つけましょう。
・貧血対策に:お味噌汁にアサリやほうれん草を加えてみる。レバーが苦手なら、鶏肉や牛肉の赤身を選ぶと効率的です。鉄の吸収を助けるビタミンC(パプリカ、ブロッコリー)も一緒に摂るとさらに良いでしょう。
・自律神経を整える:おやつをアーモンド数粒やバナナに変えてみる。夕食に納豆や冷奴を一品加える。これらは神経の興奮を鎮めるマグネシウムや、幸せホルモンの材料となるトリプトファンを補給するのに役立ちます。
・血糖値の安定に:食事の最初に野菜やきのこ、海藻の入ったスープやサラダを食べる「ベジファースト」を意識するだけでも、血糖値の乱高下を防ぎやすくなります。 - ✓ 心地よい運動と呼吸法
激しい運動は不要です。心と体をゆるめることを目指しましょう。
・1分でできる呼吸リセット:動悸が始まったら、焦らず「ブレーキ」を踏む練習を。まず体中の息をすべて「ふーっ」と吐ききってから、鼻から3秒吸い、口から6秒かけてゆっくり長く吐き出す。息を吐くことに集中するのがポイントです。これを数回繰り返すだけで、乱れた自律神経が落ち着きを取り戻しやすくなります。
・軽い有酸素運動:景色を楽しみながらのウォーキングや、鼻歌が歌える程度のサイクリングは、全身の血流を良くし、心をリフレッシュさせるのに最適です。特に朝の散歩は、セロトニンの分泌を促し、夜の質の良い睡眠にも繋がります。 - ✓ 「寝る前15分」を自分だけの時間に
質の良い睡眠は最高のメンテナンスです。そのための準備時間が大切になります。
・デジタルデトックス:寝る15分前になったら、スマホを少し離れた場所に置いて、触らない時間を作ってみる。脳を興奮させる情報から離れることが、深い眠への第一歩です。
・五感を癒す:代わりに、好きな音楽を1曲聴く、温かいハーブティーを飲む、軽いストレッチで体をほぐすなど、自分が「心地よい」と感じる時間を持つことで、心と体は自然と安らぎ、眠りの質も向上します。
5. 不調の根本改善へ。巡りを整える「温活」のすすめ
様々なセルフケアを試しても、いまいち不調が改善しない…。その根底には、現代女性に多い「体の冷え」が隠れているかもしれません。
体が冷えるのは、体内の血流という高速道路が渋滞しているようなもの。
渋滞すると、中心地である心臓は、末端まで血液を届けようと過剰に働き、疲弊してしまいます。
さらに、栄養や酸素も届きにくくなり、胃腸の働きが低下したり、免疫力が落ちたり、自律神経の乱れにも繋がります。
重要なのは、手足の表面だけでなく、内臓が集まる体の中心部をしっかり温めること。体の芯から温める「温活」で、巡りの良い体質を目指すのは素晴らしいことです。
今日から始める「温活」習慣
- ● 飲み物を変える:朝一杯の白湯、日中の飲み物を常温のお茶にするだけでも体は喜びます。シナモンや生姜のパウダーを加えるのもおすすめです。
- ● 一枚羽織る・一枚足す:夏場の冷房対策にカーディガンやストールを持つ。「首」「手首」「足首」の3つの首と、お腹周りを冷やさないのがコツです。腹巻きやレッグウォーマーも効果的です。
- ● 入浴を工夫する:シャワーで済ませず、ぬるめのお湯に10分でも浸かる日を作る。詳しい入浴法は心臓にやさしい入浴法(外部リンク)も参考に。天然塩や炭酸入浴剤を入れると、より温浴効果が高まります。
時には、特別なケアを取り入れるのも素敵です。例えば、米ぬかの発酵熱を利用した「酵素風呂」などは、ガスや電気を使わない自然の熱で体の深部までじっくりと温めることができます。全身が包み込まれる心地よさは、最高のリラクゼーションにもなるでしょう。
【注意点】
高血圧や心臓病などの持病がある方、甲状腺機能亢進症の治療中で症状が安定していない方は、急激に体を温める行為が負担になることがあります。温活を実践する前に、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。
6. よくあるご質問(FAQ)
Q. ストレスだけで、本当に動悸のような身体症状が出るのですか?
A. はい、出ます。強いストレスは自律神経の「アクセル」である交感神経を過剰に刺激します。これにより、心拍数を上げるホルモンが分泌され、実際に心臓が速く拍動します。これは気のせいではなく、体がストレスに反応して起こる正常な、しかし辛い身体反応です。
Q. 健康診断では異常なしと言われましたが、動悸がします。なぜでしょうか?
A. 健康診断の血液検査では見逃されがちな「隠れ貧血(フェリチン不足)」や、その時だけ症状が出ない「一過性の不整脈」、そして自律神経の乱れが原因の可能性があります。一般的な健診はスクリーニングが目的なので、症状が続く場合は、その症状に合わせた専門の科(循環器内科や婦人科など)を受診することが原因究明の近道です。
Q. 心配のない動悸と、危険な動悸の違いは何ですか?
A. 一つの目安として、動悸以外の症状の有無があります。心配の少ない動悸は、動悸そのものだけで、数分で自然に治まることが多いです。一方、胸の痛みや圧迫感、めまい、意識が遠のく感じ、呼吸困難などを伴う場合は、危険な不整脈などのサインである可能性があり、すぐに受診が必要です。
まとめ:不安な動悸はサイン。自分の体をいたわる一歩へ
動悸や息切れの背景には、ストレス、ホルモンバランス、貧血、甲状腺の病気、そして体の「冷え」など、様々な要因が隠れていることをお伝えしてきました。
大切なのは、不調のサインに気づき、「自分の体を大切にしよう」と意識を向けること。不安を感じたら専門家に頼ることも、自分をいたわる賢い選択です。
日々の生活の中の、ほんの少しの心地よい工夫が、未来の軽やかで健やかなあなたへと繋がっていきます。
あなたのその不調、「体質のせい」と諦める必要はありません。ご自身の体の声に耳を澄まし、心も体も晴れやかな毎日を取り戻していきましょう。
頑張る自分へのご褒美に。「温活」で心と体をリセットしませんか?
日々のセルフケアの一環として、体の芯まで温まる米ぬか酵素風呂もぜひお試しください。巡りの良い、軽やかな体づくりをサポートします。
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。